この2021年11月19日版レポートは、2021/04に行われた W3C 諮問委員会オンライン総会 (W3C 会員限定ページ)向けに用意されました。同時に公開された2021/04 W3C 現状(翻訳はありません) も参照ください。前回のバージョンは2020/10 版活動概要 (英語版、日本語版)になります。このレポートの更新版は最新版をご参照ください。 (訳注: 一般向けに原版にはない説明のリンクや追記を入れている部分があります。)
オリジナルの英語版に加え、簡体字中国語翻訳も提供されています。
注: このページは翻訳中の作業版です。最終版はW3Cのサイトに掲載される予定です。
過去14ヶ月で、世界全体が加速度的に物理的会合からオンラインへ移行してきました。これは興奮する事実ですが、公衆衛生上の悪夢による副産物でもあり心配事でもあります。これの重要な位置にウェブがあることはさまざまな統計が示すところです。
社会に対して移動や物理的接触が制限されるという変化が加わる中で、全世界にとってウェブがなくてはならない重要な技術基盤となってきています。オンラインでの通販・学習・診療、新しい方式でのビジネス運営、娯楽、家族や友人と繋がり続けることなどにどれにおいても、この流れは加速していくでしょう。
技術の利用の浸透に伴い、世界の技術基盤におけるわれわれの行っている相互可用性の担保が重要となります。(これには古くからのウェブと中国におけるミニアプリ基盤のような新しいものの両方を含みます)
これらの変化はW3Cにとっても、将来に向けたビジョンや戦略や、ダイバーシティや社会参画についてより注力すること、そして仕様策定プロセスの改善など、組織的変革につながるものでした。
以前よりまして、W3Cの活動は物理からバーチャルへの転換に直接かかわるようになりました(WebRTC 仕様が最近勧告化など)。 そして、活動成果も変化する社会からの要求をみたす、社会にとって重要な問題への解決策に沿う、それらをウェブのレベルで適用する、などとともに、セキュリティー・プライバシーとより広いウェブの非集権化・ウェブでの決済・パフォーマンス・メディア・アクセシビリティー・国際化についての挑戦的な課題を解決しつつ相互可用性を担保するというような方向に向かっています。
W3Cの活動が過去1年間の危機における挑戦や次に来るべき解決策の提供に対して必須なものであったことを誇りに考えます。このレポートは、ウェブ基盤を拡張しその発展と強みを広げる活動のまとめであり、科学的な協働や発見を加速しつづける、家族・友人をつなぐ場になる、オンラインで学習し技術を高める手段になる、活発なビジネスを行う、などのツールとなり続けるための活動のまとめです。
39個のワーキンググループと10個のインタレストグループの活動によるW3Cのウェブ標準の策定や、ガイドライン・解説文書の作成により、その使命を遂行しています。
全体で287個の仕様にわたる多くの活動は、GitHub上のワークスペースにおいて全体を通して均質で良質な監視と管理の元で遂行されています。
W3Cでは将来のウェブ標準についての議論のためにさまざまな方策を取っています。会員内での議論、他の標準化団体との連携、 350を超えるコミュニティグループの数千を超える参加者の活動、そしてW3Cワークショップの開催などです。 その中でたくさんのよいアイデアが出ています。W3C戦略チームでは将来の標準化に向けた領域の探索や、参加者の募集を行っています。
ワークショップの開催により、新領域についてのプレゼンテーション・パネル・分科会、そして仮想的な"廊下"会合を行うことにより、コミュニティ形成に繋がります。バーチャル移行に伴い活動形態の変更や予定変更が発生しましたが、分散会合になることでよりアクセシブルかつ全世界から参加しやすくなっています。
直近で開催されたワークショップ:
"Strategy Funnel"はスタッフによる新領域の可能性の探索について示しており、 インキュベーション と評価から、新規標準化グループの 設立までを俯瞰することができます。 GitHub プロジェクトでの漏斗 (Funnel) 表示では新規領域についての議論が"カード"として並び、通常は左から右へカラムの間を進んでいきます。 ほとんどのカードは探索から始まり、設立や漏斗の外へ移動していきます。
特にインキュベーションが始まったものについて、一般からの情報提供はどの段階でも歓迎です。 それによりW3Cがどの領域を標準化するに値するかを判断する助けになり、その領域の環境についての評価や、標準化作業に参加する団体の特定や、実情に合った内容で設立趣意書を作成することにも役立ちます。継続的なフィードバックは標準化作業全体の高速化に寄与します。
前回の活動概要報告以降、W3C では以下の多数のグループの設立・延長・提案などを行いました:
新しく策定された2020年版W3C特許ポリシーがいくつかのワーキンググループで適用になりました。2020年12月、12のワーキンググループが新特許ポリシーに移行しました。
W3Cのウェブペイメント標準により事業者にとってフロント・開発共に低コストかつウェブ上どこでも同じとなる、統合された決済のユーザ体験を実現します。ユーザは情報を保存・再利用可能になり、オンライン決済をより速く正確に完了できるようになります。
Web Paymentsワーキンググループは、Privacyインタレストグループによる住所収集関係仕様についてのプライバシー懸念についての議論が完了次第、Payment Request API 1.0を勧告候補とする予定です。
3月に、Stripeにより"Secure Payment Confirmation"に関する試行の結果が公表されました。この試行試験ではユーザがEMV 3-D Secureで利用されている"challenge flow"という名前のワンタイムパスワードに比べてWeb Authenticationの利用を好むかどうかを試しています。この試験ではSPCにおいてユーザの決済完了率が8%増え、認証がワンタイムパスワードよりも3倍早かったという結果が示されました。加えて、SPCでも詐欺行為は無視できるレベルでした(ワンタイムパスワードと同様に)。これについてより詳細がWeb Paymentsワーキンググループのブログにあります。
Stripeの試験で利用されたSPCは決済の中で"低フリクション"な認証フローを実現するものですが、産業界としてはリスク評価を行うための"フリクションレス"な方式も求めています。現在の多くの手法ではクッキーとブラウザのフィンガープリントを利用しています。ブラウザに変更が入っていく状況下で、ワーキンググループ(とWeb Payment Securityインタレストグループ)ではよりプライバシーが保護される代替手段を探索しています。
昨年9月に非技術フォーラムとして設立された、W3C Merchantビジネスグループでは、参加者が商業における課題について、新たなウェブ技術がどのように課題解決につながるかや、どのような追加のウェブ技術が必要なのか、を議論するための場で、まだ形成中です。
QRを含むバーコードをどのようにオンライン販売で利用するか、フリクションと同意を取る操作のバランス、アクセシビリティー、パンデミックによる決済への影響などについて議論が行われています。
ウェブは世界共有の出版プラットフォームです。出版がウェブから受ける影響はより大きくなっており、またウェブが出版に与える寄与もより大きくなっています。Publishing@W3Cにおいて特に興味を持たれているものは、体裁とレイアウト、アクセシビリティ、可用性、可搬性、流通、保管、オフラインアクセス、オンデマンド印刷、そして信頼性のある相互参照性です。また、グループには幅広い出版コミュニティが参加しており、旧来の"商業"出版社、ebookシステム開発者に加え、オーディオブックの出版社、論文誌や教育出版、司書研究者やブラウザ開発者も入っています。
W3Cでは、EPUB 3仕様の保守、開発と明確化の活動、W3Cの中でのEPUBコミュニティの代弁、そしてEPUB 3を利用したコンテンツ作成者・消費者へのサポートのために、2020年9月にEPUB 3ワーキンググループを立ち上げました。グループの重要な活動成果としてEPUB出版物と表示システムの相互運用性の増強があります。
実装試験を行うという厳格なW3Cのプロセスにより、より明確で分かりやすく実装しやすいEPUB 3仕様の開発につながるでしょう。これは、より系統だったテストの構築と、標準を明確化されたよりよい規格適合性の提示で記述することから始まります。
EPUBをより読みやすく、かつ重複や冗長な部分を取り除くために、このグループではEPUB 3.2のどの技術要件も変えることなく大きな編集上の改善を行いました。より詳細には、EPUB 3.3とEPUB Accessibility 1.1の初版草案の公表についてをご覧ください。
Publishingビジネスグループでは、コミュニティーとともに、また拡張かつ外部へ広げ、フォーラムとして議論することを通じ、作業が必要な新領域やウェブにおける出版全般でのビジネス要求を探索しています。
このグループではEPUBCheckの開発を支援し続けています。詳細はEPUBCheck 4.2.5と新しいEPUBCheckのウェブサイトをご覧ください。
メディアとエンターテイメントの活動ではメディアに関連した機能や没入体験を作り出すのに必要な機能の標準化に取り組んでいます。HTML5、TTML と TTML のプロファイル、WebVTT によりウェブに標準的な音声・ビデオ・字幕機能をもたらし、世界中にメディア処理とメディア体験の革命をもたらし、ウェブをメディアコンテンツを届けるための成熟したプラットフォームとしました。
現在の目標は:
ウェブはモバイルでもオープンなプラットフォームです。音声通信サービスとネットワーク設備の事業者は長らくウェブ技術の展開において重要な位置に居ました。ウェブプラットフォームの発展に伴いより豊富な機能を持つことで、既存サービスを新しいユーザやデバイスに対して、そしてより拡張された機能を提供できるようになり、新規や革新的なサービスの提案に繋がっています。
10年の時を経て、2021年1月にWebRTCは勧告仕様となり、すべてのネットワークにつながるどのデバイスでもコミュニケーションデバイス化することが実現され、より精細な、相互性のある、ウェブ上のどこからでもライブの音声・動画通話が可能になり、全世界とのつながりが加速され商売上では顧客とのつながりを増やせる可能性に繋がります。WebRTCはさまざまなオンライン通話や共同作業向けサービスの基礎となっています。
COVID-19の状況下で、移動や物理的接触が制限される中でWebRTCがどれだけ重要になっているかが実証されるとともに、急に出現した新たな利用形態に向けてさまざまな改善がこの技術にもたらされました。
WebRTCワーキンググループでは、WebRTCを拡張するためのユースケースの開発を将来のWebRTCに向けて継続し、特に以下の項目について作業を進めます:
W3Cでは最近WebTransportとWeb Codecsについての作業を開始し、より幅広いメディア・エンターテイメント業界向けの低遅延ストリーミングを目指して活動しています。
この活動は、APIの基盤となるプロトコルを開発しているIETFのWEBTRANSワーキンググループとの共同です。
2020年秋のTPACでのいくつかの共同会議の成功を受けて、ウェブとネットワークインタレストグループでは以下のような点について活動を継続しています:
運送に係る共有データの活用は、より強力な情報・娯楽・効率化・保守・安全や利便性の提供につながるなど、ユーザ体験が非常に向上する可能性があります。並行して、センサー・通信・クラウドやデータ処理基盤・地理情報・機械学習・モバイル環境・ユーザ環境や関連分野の拡充により、価値を創造する大きな機会が生まれています。自動車や運送分野でのこれらの発展により、コネクテッドカー・輸送方式やそれらの関連分野において標準化の必要性が生まれています。
Automotiveワーキンググループでは、実際の車両などで利用されている初版のVehicle Information Service Specification (VISS)の実環境での運用における知見を収集し続けています。
提示する標準により、エンジン温度、燃料・充電レベル、走行距離、タイヤ圧などの車両のすべての情報を共通して扱う方法を提供します。数千に及ぶ異なるデータ項目となる全ての車両情報へのアクセスを可能にし、さらに自動運転やドライバー補助技術と電装装備などの高度な運転情報のサポートも目指します。
車両自体や、(車載音楽システムの載る)"ヘッドユニット"の中で動作する車載アプリケーションなどに向けた、高機能なエコシステムを策定します。またクラウドにあるサービスに車両情報への間接的なアクセスを提供します。
VISSの第二版は機能要件定義を完了し、WebSocketに加えてHTTP RESTでの通信も含まれます。アクセス制御についても検討され、強固な認証モデルを採用しました。データフィード購読も改善されています。参照実装は車両でも利用されているMQTTプロトコルも利用可能とするように開発中です。仕様に対し、編集上の確認が行われており、初版草案が間もなく公開予定です。
Automotive and Transportationビジネスグループでは幅広い運輸系データの領域との連携や将来の標準化分野の開拓を含めた、Automotiveワーキンググループの標準開発継続に向けた役割を果たしていきます。また、ISO JTC1 WG11スマートシティのデータアーキテクトとも一緒に活動しています。最近の活動領域は :
W3CのWeb of Thingsは、分断された技術スタックの橋渡しを行い、デバイス間連携や大規模運用を可能にするために設計され、分断された Internet of Thingsのさらなる可能性の実現や相互運用性を提供します。Web of Thingsにより既存の IoT エコシステムに対し提供者のコストとリスクが削減可能となり、複数のデバイスや情報サービスを組み合わせたアプリケーションにより付加価値を提供します。スマートホーム、スマートシティ、工場、農業、健康サービスなど、様々な領域に価値をもたらします。
Web of Things (WoT)標準化の活動が新しくWoT説明用アニメになりました。このビデオはウェブ開発者が相互運用可能なIoTシステムをベンダロックインなフレームワークに依存せずにどのように実装できるかについて紹介し、W3C WoTが農業、ビルや産業用自動化、スマートホームなどの諸分野にどのように適用可能かを紹介しています。
Web of Thingsインタレストグループでは他の標準化団体や産業上の連盟と、標準化前の段階でのアイデア交換について連携を模索しています。2つのコア領域でリエゾン関係が進行中です:
Web of Thingsワーキンググループは初版のWeb of Things標準の策定を完了し、相互運用性のあるプロファイル、検出、ライフサイクルや初期接続、ID管理などについて活動を続けています。
スマートシティはわれわれが構築し居住する環境を集中管理するためのさまざまな技術(Web of Thingsはそのうちの一つでしかありません)や方策によるものです。スマートシティの適用は街に住む人々に密接に関係し、またその生活に負の影響を及ぼす可能性もあります。このため、インクルーシブなデザインやアクセシビリティーへの配慮、そしてプライバシー・セキュリティー・国際化などが考慮されなければなりません。
W3CではW3C Workshop on Smart Citiesを2021年6月25日にオンライン開催することを発表し、次の項目を目的としています:
2017年12月に設立のImproving Web Advertisingビジネスグループはオンライン広告がどのようにすれば効果的かつプライバシー配慮したものになるかについて、ビジネスの側面から業種を超えて議論するフォーラムとして活動しています。
グループには100組織以上からの350人を超える参加者が加入し、プライバシーを保護したうえでのウェブ広告についてのユースケースと提案について議論と文書化を行っています。
出版、販社、ウェブアプリケーション、利用者、そして広告事業者と効果測定業者からのユースケースの聴取を行い、草案開発においては他組織とも連携して活動しています。
このグループでの議論を受けてWICGとPrivacyコミュニティーグループで仕様案の開発が進んでおり、プライバシー考慮の集団としての測定、クライアント側での興味を元にした広告選択、サードパーティークッキーなしでのウェブに向けた準備、などの策定が進んでいます。
CSSは開かれたウェブプラットフォームの重要な要素です。CSSワーキンググループは大きく二つのCSSユーザから要求を取りまとめています: 出版業界とアプリケーション開発者です。前者はページ組のサポートと高度なフォントの取り扱い、後者は高度 (かつ高速な!) スクロールとアニメーションに関する要求が大きいです。
CSSは実際には100近くの仕様の集大成となっており、モジュールとして認識されています。CSSの現状は年1回更新されるスナップショットとして提供されます。このグループではCSS仕様のすべての定義についての索引も提供しています。
2020年12月にCSSワーキンググループは2020年版CSSスナップショットを公開しました。
CSS"仕様"は100を超える個別文書により構成されており、CSSスナップショットは完成状態に近いと考えられる全ての仕様をとりまとめたCSSの現状を示すものです。
Web Audioワーキンググループはオープンウェブプラットフォームに高度な音声・音楽合成機能を追加します。
Web Audio 1.0はすでにすべてのブラウザで実装されており、ブラウザでの統合音声を実現します。音声操作は、モジュール化された音声操作要素をつなぐ形の、音声ノードにより行われます。異なるチャネルレイアウトを含む複数音源もサポートされます。モジュールデザインにより動的にはたらく複雑な音声機能の作成に自由度がもたらされました。
このグループではWeb Audio API 1.0の勧告候補スナップショット(CRS)を1月に公開しました。Chrome, Firefox, Safariにおいて機能テスト合格率を上げる改善の取り組みが継続しています。また、5月目標の最初のW3C勧告仕様公開に向けて、勧告案へ進むのに近づいて来ています。
Web Audio API 2.0向けの新機能についてもAudioコミュニティーグループで検討が進んでいます。Web Audio 2.0はいまの安定した基礎の上に、音声機能開発者から強い要望があったノードを追加しようとしています。
HTMLはワールドワイドウェブ(WWW)にとって核となるマークアップ言語で、ウェブサイトを構築するための基礎となる技術です。
W3CではHTMLとDOMの仕様が全世界のコミュニティーからの要望を考慮して開発し続けられることに貢献し続け、アクセシビリティー、国際化、プライバシーなどの領域についての改善を、相互可用性、パフォーマンス、セキュリティーをより確保する形で継続します。
W3Cコミュニティーでのレビューを経て、W3Cでは1月にHTMLのスナップショットの初めての是認を行い、またDOMのスナップショットについても同じく先の11月に行いました。
HTMLワーキンググループではWHATWGのHTMLとDOMについてのレビュードラフトを年1回のペースで勧告化していく予定です。
ウェブフォントは、中国語・日本語・韓国語といったフォント全体をダウンロードすることが重い言語や、アラビア語・インド諸語などのサブセット化されたウェブフォントでは頻繁に正しく表示されないような言語においても利用されます。Web Fontsワーキンググループではウェブでの相互運用性のあるダウンロード可能なフォントの仕様を開発しており、Progressive Font Enrichment (PFE)に注力するとともにWOFF仕様のメンテナンスを行っています。
Web FontsワーキンググループではProgressive Font Enrichment (PFE)の評価レポートを公開しました。中国語・日本語・韓国語(CJK)ではウェブフォントはファイルサイズが巨大になるため利用困難です。複数のネットワークリクエストによるページ読み込み時間の極端な増大がないような、大幅なファイルサイズの削減が必要となります。この報告では、現在適用が困難な、遅い回線、巨大フォントファイル、複雑な部分抽出への要求などに対応するウェブフォントに関する解決策を評価しました。
2021年1月にMiniAppsワーキンググループが設立され、(CSSやJavaScriptといった)ウェブ技術とネイティブアプリの機能を統合したハイブリッドモバイルアプリであるMiniAppsと、Webの間の相互可用性と共通性を最大化させるために活動しています。
2020年の目標の一つはW3C TAGとMiniappコミュニティー間での議論でしたが、One Webの目標の元で異なるMiniAppsプラットフォーム間での相互可用性を確保できれば、提供者・開発者・ユーザに対してより良い体験を提供可能な結論に至りました。
Miniappsワーキンググループは標準仕様の原案として、以下のようなMiniAppsの基本的な構成とMiniApps Ecosystemコミュニティーグループで策定された要求文書を利用しています:
2021年初めの時点で、リッチなMiniAppsの環境の中で、7百万を超えるminiappsが公開され、20以上のベンダー、150万以上の開発者が居て、毎日9億ものユーザが利用しています。
4月に初回のMiniAppsに関するCJKでのミーティングが開催され、30組織以上からの60人程度の参加者により、新しい利用シナリオの検討を含めたMiniAppsエコシステムについての拡張の検討を行いました。
WebAssembly勧告仕様はブラウザと単独環境の両方で広く利用可能な仮想マシンと実行環境で、ネイティブに近い性能、最適化された読み込み時間、そしてもっとも重要と思われる既存コードをコンパイル可能にする、などを実現します。
WebAssemblyワーキンググループは最近憲章を更新し、仕様を次の3つに分割しました:
グループでは初版の草案を間もなく公開予定です。
並行して、WebAssemblyコミュニティーグループにおいて要求解析と言語仕様開発を行っており、次期標準に入れる機能の開発を行っています。
データは、特にIoTやビックデータ、AI、機械学習の隆盛を受けて社会において重要となっています。Linked Dataは対象についての名前のようにURIを利用するためのもので、それらのURIを詳細情報取得や他のデータにリンクとして格納するためのデリファレンスとして利用可能です。
W3Cは20年にわたり開発が続けられたデータに関連する成熟し広い範囲の標準を持っており、将来目標として開発者にグラフデータやナレッジグラフについて扱いやすい仕様を提供し、産業向けに供給とバリューチェーンとの水平統合と工場からオフィスまでの垂直統合の両方に提供していく予定です。
デジタル識別子はウェブやそれ以外での各種サービスの実装に、相互連携するアプリケーションとデータのウェブの実装の両方の面で必須です。
Decentralized Identifierワーキンググループ は、関連したDID文書を持つ URI スキーマでデジタル識別子を実現しようとしています。どのような利用者でも証明を検証可能で、個人情報を交換でき、サービス情報を受け渡せる暗号化された情報を含むJSON形式の文書と、さまざまな分散型台帳やGitHubなどのウェブストレージ、IPFSなどに保管可能な方法です。
このグループではDID Identifiers 1.0 (現在勧告候補)、DID Specification RegistriesとDID Use Cases and Requirementsについて活動しています。
プライバシーとセキュリティ - 人権と自由権に不可欠なもの - は W3C の活動において長らく重要とされてきています。例えば、認証技術の開発により弱いパスワードやフィッシングなどの攻撃の脅威を減らすことによるウェブセキュリティの改善などが上げられます。
しかしながら、ブラウザフィンガープリンティング、偽情報の拡散、などのオンラインの脅威といった、個人データの不正利用やオンラインでのトラッキングなどが問題となってきています。これらは緊急かつ難しい問題です。ユーザが検閲なしに安全に利用可能なウェブを手助けするための議論が始まっています。
2019年春のWebAuthn Level 1のW3C勧告公開以来、ブラウザや主要ウェブアプリケーションでの実装が進み、強力な暗号による認証の利用が普及しています。The WebAuthn Adoptionコミュニティーグループは開発者にWebAuthnの利用を思いとどまらせる要因の抽出と、相互運用性のあるセキュリティー標準をより活用するために開発者・利用者を支援する活動を行っています。
Web AuthenticationワーキンググループはWebAuthn Level 2のW3C勧告を4月に公開しました。グループではデバイス紛失時の復旧対応を含めた新憲章に移行予定です。
Privacy Interest Group (PING)が他のグループの仕様に対するプライバシーレビューを行っています。この活動は新しい追跡ツールを利用しており、各グループがプライバシーとフィンガープリンティング関連の仕様における問題に対して認識を持ってもらうことに成功しています。また、Target Privacy Threat Modelの文書を策定中です。
セキュリティーレビューはW3C Teamが運用するボランティアプールの方によって行われています。新規加入は歓迎です。課題追跡はPINGと同じツールで行われています。
2020年に、新しいプライバシー特化の仕様とAPIを検討するためにPrivacyコミュニティーグループが形成され、さまざまな参加者が加入しています。以下のような点について活動する60程度の参加者による定期会合が行われています:
国際化に関する教育コンテンツ一覧 • 仕様開発者向けチェックリスト • 多様な言語を利用可能にする活動の一覧 • 国際化イニシアティブ
世界人口のうち英語を話せる人は8億人程度ですが、オンライン情報の50%以上がいまだに英語だけのままです。ウェブで利用が困難な言語の利用者はますます軽んじられ締め出されていくことでしょう。ウェブによる経済的、教育的、また民主的な利点を享受できず、しかもその層の参加が得られないことでウェブの潜在的な可能性を世界全体まで伸ばせないことになります。
W3Cはウェブを真に'世界中の'ものにすべく、Internationalization Activity (i18n)を1998年に立ち上げました。全世界の利用者にとってウェブで様々な言語が利用できて本当に動作するようにするために、言語の専門家、ウェブサイトデザイナ、開発者、ベンダーといった活発にウェブを進化させる活動を行う人々の協力が必要です。全世界で利用されている言語がウェブで利用可能となったとき、全ての言語コミュニティをつなぐことができるようになるでしょう。
現在のプロジェクトの活動状況はレーダーで見ることができます。
Internationalization initiativeはW3Cの基礎的経費での活動範囲を超えた国際化領域での活動へのスポンサーです。この追加の活動費により重要な利用可能性を広げる活動への貢献の増大が実現されています。
W3Cにおける、主要な言語を利用可能にする活動、開発者サポート、(教育・アウトリーチの)ウェブ開発者サポートの領域での活動は以降に記述します。
言語・文字特有の要求についての文書と、既存・開発中の技術で利用する段に置いての障害についての文書を策定中です。言語マトリクスにウェブでどのように言語が利用可能かについての現状がまとまっています。詳細は言語を利用可能にするためにの文書や、レポジトリとタスクフォースを探すから、この活動を遂行している場所を見てください。
日本語と中国語のタスクフォースは継続して定期会合を行い、文書の更新を続けています。この活動をより広げるために、特にアラビア語、東南アジア言語、インドに関するタスクフォースへの参加者を募集しています。
アドラム文字(フラニ語)、フランス語、ドイツ語、ヘブライ語、ンコ文字、オセージ語に関する計6つのギャップ解析文書の初版草案が公開になりました。
W3Cグループ向けのレビュー、議論やアドバイスなどの活動(と時には外部のUnicode ConsoritumやIETFなどに対しても)と、各グループが自己確認や学習を行うためのガイドライン・チェックリストの準備、また特定の技術的問題について集中しての活動、などを行っています。
Internationalizationワーキンググループでは他のグループで開発された仕様に対して、必要に応じたレビューと助言の提供を行っており、CSS、WHATWG、WebXR、アクセシビリティーガイドライン、ウェブ出版、MiniApps、GeoLocation、WebShare、など各種のグループに対して活動しています。
最近の実績は:
コンテンツ作成者が国際化機能を理解し利用するための文書を提供しています。国際化の解説、ウェブページ作成者のための国際化チェッカーのメンテナンス、カンファレンスでの発表などです。
HTML & CSS Authoring Techniquesとその他の国際化機能に関する解説文書を参照ください。
WAIニュース • アクセシビリティーの基礎 • デジタルアクセシビリティーのビジネスケース • WAIの翻訳版
2006年に全ての障碍者が人権と基本的自由を享受できるようにするために国連で障害者権利条約(CRPD)が締結されました。代表者会議ではウェブとデジタル出版を含む情報へのアクセスを基本的人権と定義しています。ウェブアクセシビリティは全ての人が平等にアクセスし、機会を得、参加するための鍵となります。
1997年に設立されたW3CのWeb Accessibility Initiative (WAI)では、ウェブアクセシビリティーへの適合と実装を推進するための技術標準に加えてアウトリーチと技術教育資料を作成しています。WAIのWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG)はウェブアクセシビリティーの権威ある指標的標準として扱われており、世界中のさまざまな政府から参照されています。
しかしながら、ウェブの複雑さが増し、デジタル出版や仮想環境がウェブに載るなどの技術の発展に伴い、それらの技術におけるアクセシビリティの実現が加速的に重要となってきました。WAI は W3C の全ての人のためのウェブのため、またアクセシビリティ関連の活動を協調したものとし、W3Cの活動領域全体に貢献しています。
ウェブ標準開発活動とウェブ開発者の間の相互フィードバックや幅広いコミュニティーからの参加者の獲得の推進活動を行っています。
W3CxはW3CとedXの協働で2015年からコアなウェブ技術についてのMOOCsを作成しています。
たくさんのウェブユーザが英語が基本であるW3Cの文書に対する翻訳版を参照しています。
W3Cはコミュニティによる、特に仕様書に対して、さまざまな言語で無料で幅広い利用者に対して利用可能になるように公開している、継続的なこれらの貢献に感謝します。
貢献するにはページから翻訳活動に参加する方法を見ることができます。
W3Cではインターネットやウェブ標準を開発している多数の組織や標準化団体(SDOs)とリエゾンと連携関係をウェブの開発における連携のために締結しています。
リエゾンと連携関係の目的は: