このレポートは、2019/09に行われたW3C 諮問委員会総会 (W3C 会員限定ページ) 向けに用意されました。 同時に公開された2019/09 W3C 現状 (翻訳はまだありません) も参照ください。前回のバージョンは 2019/04 版活動概要 になります。 このレポートの更新版は最新版をご参照ください。 (訳注: 一般向けに原版にはない説明のリンクや追記を入れている部分があります。)
なお、この日本語版は非公式であり、W3C として正確性などを担保しているものではありません。 疑問点があればオリジナル (英語)を参照ください。
このレポートはすでにウェブで実現されている領域についての拡張や、 ウェブ技術の拡張・強化のための技術革新に関する最近の活動の概要です。
33 個のワーキンググループ、12 個のインタレストグループ によるウェブ標準・ガイドライン、そして解説文書の作成により W3C の使命が遂行されています。 これらの大量の活動は、全体を通して均質な GitHub 上のワークスペースにより 良い監視と管理 の元で遂行されています。
ウェブプラットフォームの早い変化を示すかのように、多数のワーキンググループを設立する期間の真っただ中にいます:
この半年の間に、W3C と WHATWG の間で、二つの独立した仕様を標準化することがウェブコミュニティーに対して 危険であるという共有の信念のもとに調整されていた MoU が締結されました。MOU はこの5月に締結され、 二つの組織が一つの権威ある HTML と DOM の標準を協調して開発することについて記述しています。 これに伴い、W3C ではHTML ワーキンググループ の活動内容の更新を行い、W3C コミュニティーからの HTML と DOM 仕様への問題提起や解決案提示の補助や、 WHATWG レビュードラフトを元に W3C 仕様を公開する活動を行うこととしました。
ウェブは継続的に進化しており、いくつかのグループでは仕様をその時点のそのままで公開することを検討しています。 これは"evergreen recommendations" や "living standards" と呼ばれる、レビューや特許検証を行いながらも、 個別機能ごとに継続的に開発 (と保全)することを目的とするものです。
ウェブに対してたくさんの数の新技術が成熟・新規開発されてきています。 以降のこのレポートでは、W3C とウェブコミュニティーのさまざまな分野での活発な進捗について説明します。
W3C では将来のウェブ標準をいいものにするために、コミュニティーの考えをもらういろいろな方策を行っています。 これらには、会員との間の議論、他の標準化団体との議論、300 を超えるコミュニティーグループの数千人の参加者の活動、W3C ワークショップがあります。 これらからさまざまな良い提案がなされています。W3C 戦略チームでは将来性のありそうな話題を探し出し、 一般からの参加を集めています。
将来的に、最近、または検討中のワークショップ には以下のものがあります:
"Strategy Funnel" はスタッフによる新領域の可能性の探索について示しています。 探索と調査、保育(インキュベーション)と評価、そして最終的には新しい標準化グループの設立。 Funnel (漏斗) 表示では、新領域についての議論をカラムに "カード" で並べ、左から右に進んでいきます。大半のカードは探索から始まり、設立まで進むとこの状態から抜けていきます。
特にインキュベーションが始まったものについて、一般からの情報提供はどの段階でも歓迎です。 それにより W3C がどの領域を標準化するに値するかを判断する助けになり、その領域の環境についての評価や、 標準化作業に参加する団体の特定や、実情に合った内容で設立趣意書を作成することにも役立ちます。 継続的なフィードバックは標準化作業全体の高速化に寄与します。
前回の活動概要報告以降で、 W3C では以下の多数のグループの設立などを行いました:
W3C のウェブペイメント標準により事業者にとってフロント・開発共に低コストな ウェブどこでも同じである、統合された決済のユーザ体験を実現します。 ユーザは情報を保存・再利用可能になり、オンライン決済をより速く正確に完了できるようになります。
Web Payments ワーキンググループは、 Payment Request API の勧告候補を更新し、 勧告案を2019年秋に公開予定にしており、また、1.0 の勧告後に向けた Payment Request の ユースケースと機能について議論中です。 ブラウザベンダーもこれまでに追加された新機能の実装を終えようとしています。 (実装状況報告を参照)
Payment Handler API とその実装(現時点では Chrome と Edge Canary)についても作業が継続しており、2019年はほかのブラウザでの実装に焦点を当てています。 最近、EMVCo のセキュアリモートコマース (Secure Remote Commerce; SRC) プロトコルに対応した Mastercard による Payment Request API のデモ が公開されており、この 決済方式定義はVisa、Mastercard,、American Express、Discover の活発な参加のもとに行われています。決済方式の利用可能性は事業者が Payment Request API を利用するかどうかを検討する有力な材料でもあります。また、SRC といった新しい決済形式に統一的な形で 対応すできるかはブラウザやプロプライアタリーな代替サービスでの Payment Handler API が実装されるかが鍵となります。
Web Payments WGが9月の対面会議にて再度議論する Web マネタイゼーション は、広告に代わる収益手段としてのマイクロペイメントの実現に向けたものです。
2019年より、Amazon、Brave Software、JCB、Certus Cybersecurity Solutions、と Netflix が Web Payments WG に加入しました。
4月にWeb Payment セキュリティーグループ を W3C において設立し、W3C、EMVCo、と FIDO アライアンスが Web Payment のセキュリティーと相互可用性について 協業していくことになりました。参加者は以下のような協業範囲の策定、既存技術間の相互運用性の確保において 問題となる部分の抽出について議論します:
ウェブは世界共有の出版プラットフォームです。出版がウェブから受ける影響はより大きくなっており、 またウェブが出版に与える寄与もより大きくなっています。
Publishing@W3C において特に興味を持たれているものは、 体裁とレイアウト、アクセシビリティー、可用性、可搬性、流通、保管、オフラインアクセス、オンデマンド印刷、 そして信頼性のある相互参照性です。また、グループには幅広い出版コミュニティーが参加しており、 旧来の"商業"出版社、ebook システム開発者に加え、オーディオブックの出版社、論文誌や教育出版、 司書研究者やブラウザ開発者も入っています。
Publishing WG は標準がないために 成長市場にもかかわらず出版までに多大な追加経費と時間がかかっているオーディオブックに 現在は注力しています。標準化を目標に開発中の仕様は以下です:
BD Comics Manga コミュニティーグループ、 出版向け同期マルチメディアコミュニティーグループ、 出版コミュニティーグループ と将来的に形成予定のグループでは、 特定の目標に向けて活動するワーキンググループと並行して活動しています。
出版コミュニティーグループは最近 Publishing@W3C のためのインキュベーショングループとして作成されました。 このグループの目標は以下の分野についての提案、文書化、また機能の原型の検討を行っています。
EPUB 3 コミュニティーグループ からは PUBCheck 4.2.0 と EPUB 3.2 完成版が出ました。
Publishing ビジネスグループ は出版業界からの参加者のもと、ウェブ機構の開発の全体のエコシステムの中で業界からの要求をよりよくサポートする 方策の検討を行っています。ビジネスグループは Publishing WG やいくつかのコミュニティーグループに追加しての W3C と出版業界の間のフィードバックの場を提供しています。 Publishing ビジネスグループは技術採用と発展や EPUB 3 の継続開発において極めて重要な役割を果たしています。 特にビジネスグループは EPUBCheck を最新の EPUB 3.2 仕様に沿ったコンテンツの評価を行うための更新に欠かせない 援助を行いました。EPUB3 コミュニティーグループとともに行われたこの開発の結果、 EPUBCheck 4.2 製品版 といった新しい EPUBCheck が公開されています。
メディアとエンターテイメントはユーザが没入可能な体験を可能にするメディアに関連した話題と機能 を串刺しで追跡します。HTML5 によりウェブに標準化された音声・動画が導入されました。 それ以降の標準化はウェブをメディアコンテンツとその付随物を提供可能な洗練されたプラットフォームになることを 目標とし、状況に応じたストリーミングやコンテンツ保護などのウェブにおける ビデオコンテンツの提供に不足している要素の実現に向けて活動しています。 Microsoft、Comcast、Netflix、Google とともに W3C は Technology & Engineering Emmy Award をウェブにおける完全な TV 体験の標準化の実績で2019年4月に受賞しました。 現在の目標は以下のものです:
Timed Text ワーキンググループ は 音声やビデオといった他の時系列メディアに同期したテキスト表示の仕様を開発しており、 TTML、TTML プロファイル、WebVTT について活動しています。直近の成果は:
仮想現実 (VR) や拡張現実 (AR) アプリケーションを実現するハードウェアが近年一般向けに利用可能になり、 新しい機会や挑戦が可能になる没入型コンピューティング環境が提供されるようになりました。 没入型ハードウェアと直接やり取りができる機能は、ウェブがこの環境で市民権を得るために重要です。
Immersive Web ワーキンググループは WebXR Device API の策定のために活動しており、 並行して Immersive Web コミュニティーグループ は Immersive Web の将来において重要となるであろう 次世代機能 について活動しています。
W3C では VR とアクセシビリティーの境界領域 における要求とその恩恵についてのワークショップ (Inclusive XR) を2019/11/5-6にシアトルで開催予定で、 既存・将来の VR/AR 体験をよりアクセシブルにする可能性について追及します。
ウェブはモバイルでのオープンプラットフォームです。 音声通信サービスとネットワーク設備の事業者は長らくウェブ技術の展開において重要な位置に居ました。 ウェブプラットフォームの発展に伴い、既存サービスを新しいユーザやデバイスに拡張するより拡張された 機能を提供できるようになり、新規や革新的なサービスの提案に繋がっています。
WebRTC は全ての繋がっているデバイスをコミュニケーション端末にすることでコミュニケーション事業全体を 再定義し、音声・動画通信をどこでも、どのネットワークでも実現し、事業者が顧客に繋がる機会を多大に増加させます。 WebRTC はさまざまなオンライン通信や共同作業に欠かせない機能を提供します。
WebRTC ワーキンググループは WebRTC 1.0 (と関連するメディアキャプチャーとストリームの仕様) を2019年末までに勧告化する予定です。かなりの活動がテスト (IETF 104 での特化したハッカソン の助けを得て) と相互運用性に費やされました。グループではまだ採用されていない技術を別途のモジュールか 仕様の将来的なマイナーリビジョンに移行することを検討中です。
WebRTC 1.0 後について、WebRTC ワーキンググループでは、ユースケースの特定についての文書化を始めている WebRTC NV グループの活動に移っていく予定にしています。
2018年5月の Web5G ワークショップを受けて ウェブとネットワークインタレストグループ の活動が開始され、 AT&T、China MobileとIntelからの議長の元、デバイス・ネットワーク両方においてよりよいパフォーマンスや リソース割当をウェブアプリケーションで実現するための機構を目標として活動します。 このグループの初期活動領域は、ユースケースの特定、プライバシー・セキュリティー要件定義と、リエゾン関係の構築 となります。
車載向けの高機能アプリケーションエコシステムの実現や車両とほかのデバイスの接続に向け、 W3C ではAutomotive ワーキンググループが車両共通の情報 (エンジン温度、燃料・充電レベル、走行距離、タイヤ圧、速度など) を提供可能な仕様を目標としています。
勧告候補の車両情報サービス仕様 (VISS) では、業界内でのさらなる実装を求めています。この仕様では、数千に及ぶ異なるデータ項目となる全ての車両情報 にわたる共通データアクセス方式を定義し、さらに自動運転やドライバー補助技術と電装装備などの高度な運転情報 のサポートも目指します。
このグループではすでに VISS の次世代にも着手しており、既存のデータモデルや Volkswagen による VIWI 提案などをもとに、 車両情報アクセスのより共通化された方式や、位置ベースのサービス・メディア・通知・情報キャッシュなどの、 他の車載向け要求に同様の方式を適用する方策について議論しています。
Automotive and Web Platform ビジネスグループ では将来的な標準化作業のインキュベーションを行っています。タスクフォースの一つでは、W3C VISS を利用してのデータサンプルとクラウドへの送信について活動しています。W3C の車両情報標準により取得可能な 情報資産へのアクセスは、政策立案・都市計画・保険会社・車両製造会社・車両管理所有者・サービスプロバイダー などにとって興味があるものです。データサンプルとクラウド送信に加えて、利用者と所有者の許諾取得、 データの収集方式と取り扱いについても視野に含みます。
2019年9月の 輸送手段のデータモデルについての W3C ワークショップ では輸送に関連する領域でのオントロジーについて議論予定です。
W3C の Web of Things は 分断された技術スタックの橋渡しを行い、デバイス間連携や大規模運用を可能にする ために設計され、分断された Internet of Things のさらなる可能性の実現や相互運用性を提供します。
JSON-LD ベースの Thing description は、振る舞い、相互作用、データスキーマ、セキュリティー設定、 プロトコル連携について定義します。Web of Things は既存の IoT エコシステムに対し、複数のデバイスや 情報サービスを接続する際に、提供者と利用者のコスト・リスク低減を可能にするものです。 スマートホーム、都市、産業、農業、健康管理などといった多数の分野で利便性を提供可能です。
Web of Things ワーキンググループ では、 Web of Things インタレストグループ のサポートを受けて、 第一版を完了しつつあります:
HTML ワーキンググループは6月頭に 趣意書が更新 になり、W3C コミュニティーが HTML と DOM 仕様について問題提起や提案を行うサポートを行い、 また WHATWG Review Draft から W3C 勧告を作成する活動を行うことになりました。
その数日前、W3C と WHATWG は MoU に署名 し、単一バージョンの HTML と DOM 仕様の開発に向けた協力体制を実現しました。
HTML と DOM に対する問題提起や提案はこの新しい趣意書の元での HTML ワーキンググループにより WHATWG レポジトリに対して行われます。
HTML ワーキンググループは HTML と DOM 仕様を2019年11月に勧告候補にする予定です。
CSS は開かれたウェブプラットフォームの重要な要素です。CSS ワーキンググループは大きく二つの CSS ユーザから要求を取りまとめています: 出版業界とアプリケーション開発者です。W3C の中では、 "Publishing" グループと "Web Platform" ワーキンググループに相当します。 前者はページ組のサポートと高度なフォントの取り扱い、後者は高度 (かつ高速な!) スクロールとアニメーションに 関する要求が大きいです。
CSS は現実には 100 近くの仕様の集大成になっており、 モジュールとして認識されています。CSS の現状は年1回更新される スナップショットとして提供されます。 このグループでは CSS 仕様のすべての定義についての 索引 も提供しています。
ウェブフォントワーキンググループ は ウェブ上でダウンロードで利用可能なフォントの相互運用性を保つ仕様を開発しており、 プログレッシブフォント拡張と WOFF のメンテナンスに注力しています。
直近と現在の活動は:
SVG はオープンウェブプラットフォームの中でも重要な幅広く利用されている技術の一つです。 SVG ワーキンググループでは、 SVG 2.0 仕様をブラウザ実装に合わせて整理し、すでに実装があるものを 2.0、将来的な実装に期待する ものを 2.1 とする作業を行っています。この作業は、安定板を作成しオープンウェブプラットフォーム により統合され、そしてテストによる確認を安定させるためのものです。
ワーキンググループは2019年3月に 趣意書を更新しました。 新しく (ウェブブラウザ以外の) ネイティブ利用に向けた、非インタラクティブなベクトル画像形式としての利用が 追加されています。
Web Audio ワーキンググループ は Web Audio API を完了させるために延長され、年末までに勧告として公開予定です。 この仕様によりブラウザでの統合音声が実現されます。 音声操作は、モジュール化された音声操作要素をつなぐ形の、音声ノードにより行われます。 異なるチャネルレイアウトを含む複数音源もサポートされます。 モジュールデザインにより動的にはたらく複雑な音声機能の作成に自由度がもたらされました。
Web Audio API の初版は機能定義が完了し、すべての現代的なブラウザで実装されています。 次期バージョンの開発も開始され、新規機能の議論が Audio コミュニティーグループで行われています。
Web Performance ワーキンググループでは現在合計18個の仕様が 開発中で、アプリケーションのパフォーマンスの観点で測定・改善するための方法を提供する ためのユーザエージェントの機能と API を目標としています。 W3C ではワーキンググループ化を検討しているW3C GPU for the Web (WebGPU) コミュニティーグループで行われている活動との連携も模索中です。 これについては準備中の 趣意書案があります。
WebAssembly は読み込まれたページをネイティブ (コンパイル済み) コードとして実行可能にすることで、 仮想マシンと実行環境として振る舞いウェブのパフォーマンスと消費電力の改善を可能にします。 Firefox、Edge、Safari と Chrome で利用可能です。仕様はまもなく勧告候補となる予定です。
WebAssembly によりネイティブに近いパフォーマンス、最適化された読み込み時間、そして最も重要かもしれない 既存のコードベースからコンパイルして実装可能という機能が提供されます。ネイティブの型は少数ですが、 型付きにより JavaScript よりも高速なパフォーマンスを示します。WebAssembly は何十年にもわたるコンパイル言語 の知識を活用でき、バイトコードは (ウェブページがすべてダウンロード完了する前に実行開始できるような) コンパクトさとストリーミングに最適化された仕様になっています。 ネットワークと API へのアクセスは常に併用される JavaScript ライブラリ経由で行われ、JavaScript のセキュリティーモデルで動作することになります。
仕様への要求抽出や言語自体の開発はコミュニティーグループ で行われており、ワーキンググループはテスト開発、 コミュニティーによるレビュー、仕様を勧告化する ための活動を行っています。
ブラウザでのテストはウェブの発展のために重要です:
Browser Testing and Tools ワーキンググループは WebDriver バージョン2を開発中で、 WebDriver は昨年 W3C 勧告となりました。 WebDriver はユーザエージェントの内部観察や制御を可能にするリモート制御機構として働き、 プラットフォームや言語に依存しない形で外部プロセスからウェブの動作をリモートで操作する手法を提供し、 ブラウザを実際のユーザが操作しているような状況を作り出すことができます。
WebPlatform Tests プロジェクトは以前の TestDriver では手動で操作しなくてはならなかったテストを完全に自動化して実行することができる機構を提供します。
このシステムでは安全なキーとマウスイベントを送信可能で、ドラッグ・ドロップ、ピンチズームやファイルアップロード などといった様々な複雑なポインタとキーによる操作を実行させることができます。
2014年から W3C ではウェブプラットフォームに対する、WHATWG やすべての主要ブラウザに適用可能な、 クロスブラウザのテスト環境を構築するオープンソースでの開発を行ってきました。
ウェブにおけるデータの標準化について昨年いくつかの大きな進展がありました。
Verifiable Claims は大きな進展を見せました。また、Distributed Identifier WG の趣意書に対しても たくさんの好意的な意見が寄せられ、開始 しました。JSON-LD においても schema.org において多数のサイトで利用されるという成功を見ました。
データは、特にIoTやビックデータの隆盛を受けて、すべての組織にとって重要性が増しています。 W3C は20年にわたり開発が続けられたデータに関連する成熟し広い範囲の標準を持っており、 将来目標として開発者にグラフデータやナレッジグラフについて扱いやすいものを提供する予定です。
Linked Data は対象についての名前のように URI を利用するためのもので、それらの URI を詳細情報取得や 他のデータにリンクとして格納するためのデリファレンスとして利用可能です。 ウェブ上では減ることがない公開の Linked Data が増えており、データを利用・提供するデータサービスも同様です。
産業界のデジタル化に伴いより高度なデジタル技術が求められています。これにより、サプライとバリューチェーンを水平統合し、 工場からオフィスまで垂直統合するような産業が生まれています。W3C では新しい産業形態の中でのデータの戦略的重要性を元に、 事業向けデータ管理と統治をより簡単に行える方法を追求します。
古典的なデータアクセスは、表形式データベース (SQL/RDBMS)、カンマ区切りデータ (CSV) ファイル、 PDFや表計算形式に埋め込まれたデータなどに注力していました。現在、ノードとそれらの間のラベル付き直接リンクで構成 されるグラフデータへの移行が起こっています。グラフデータは:
最近の グラフデータに関する W3C ワークショップ を受け、ユースケースや要求の側面からのビジネス要件の提供や、外部組織との標準化におけるリエゾン関係を構築する ことを目標として、グラフ標準化ビジネスグループを立ち上げ中です。
All Security specifications, all Privacy specifications
WebAuthn Level 1 W3C 勧告が3月に公開され幅広い実装が提供され、強力な暗号認証が追加されました。 Level 2 に向けての作業も継続中です。
このオープンな Web API 標準により組込みの認証技術が、ネイティブプラットフォーム、ブラウザ、モバイルを含む オペレーティングシステムとハードウェアに導入され、ハッキング、認証情報の詐取、フィッシング攻撃からの 保護とともに、パスワードをセキュリティー保護に利用していた時代の終焉となります。 3月のプレスリリースも参照ください。
W3C が発行する仕様の多くがプライバシーとセキュリティーに関するレビューの恩恵を受けています。 全ての仕様がセキュリティーとプライバシーの観点から確認されます。すべてのレビューが重要です。 TAGとの協力により、 Privacy Interest Group では セキュリティーとプライバシーに関する自己レビュー を更新しました。
それ以外に、 標準策定の中でのプライバシーアンチパターンや 認可プロンプト などのブログ投稿も 行っています。
Web Application Security Working Group では、 アプリケーションの中でブラウザ機能や API の挙動を開発者が有効・無効・変更するための機能を目指す Feature Policy仕様を公開しました。 また、 Fetch Metadata により リクエストが行われた方式や前後関係に基づきリクエストにどのように応答するかを事前にサーバ側で決定するための データを提供する機能が実現されます。
Web Payment Security Interest Group が4月に活動開始し、 W3C、EMVCo、FIDO アライアンスからの参加者により、Web Payments におけるセキュリティーと相互運用性の拡張について の議論が行われています。(詳細は payments の節を参照ください)
全ての仕様の一覧、 国際化に関する教育コンテンツ一覧、 仕様開発者向けチェックリスト
ウェブユーザの中で英語を利用するのは1/4程度で、この割合は英語を利用しないコミュニティーに ウェブの利用が広まるにつれて減っていくことになります。ウェブがその名前の通り "World Wide" のものであるために、またさまざまな言語による情報により世界中のすべての利用者にとってウェブが 実際に利用可能なものになるために、さまざまな言語による情報により全世界のユーザの要望を満たせるもの にならなくてはいけません。電子出版の隆盛は新機能要求やウェブ上での体裁の改善につながりました。 ローカルのコミュニティーからの要望がきちんと抽出できていることが重要になります。
W3C Internationalization Initiative は World Wide Web を "worldwide" なものにするための活動を加速するための内部リソースを増やすために設立され、 ユーザ要求のとりまとめ、開発者のサポート、教育と広報を目的としています。
プロジェクトの現状については i18n レーダー を参照してください。 直近の W3C の国際化の活動は多岐にわたっており:
Web Accessibility Initiative は W3C の全ての人の為のウェブのために活動しています。最近の成果は:
ほとんどの仕様ではアクセシビリティーの視点が必要となります。 FAST チェックリストを提供していますので、仕様内容と確認してください。
ウェブ標準開発とウェブ開発の間によいフィードバックをかわし、多様なコミュニティーからの参加を増やすため、 W3C デベロッパーリレーションでは以下の活動を行っています:
EdX との共同で、W3C は MOOC 訓練プログラムを公開しており、 W3Cx にて、"Front-End Web Developer" 専門家認定プログラムを、 ウェブの基礎的言語、HTML5, CSS, JavaScript に関する5つのコースにより提供しています。 全世界で90万人のユーザがいます。
W3Cx は完全な"Front-End Web Developer" (FEWD) 専門家認定プログラム をウェブを構成する3つの基礎的領域、HTML5, CSS, JavaScript について5つのコースによって提供しています。
たくさんのウェブユーザが英語が基本である W3C の文書に対する翻訳版 を参照しています。W3C はコミュニティーによる、特に仕様書に対して、さまざまな言語で無料で幅広い利用者に対して 利用可能になるように公開している、継続的なこれらの貢献に感謝します。
この春により安定したシステムを構築し、W3C 仕様書の翻訳一覧は 貢献するにはページで公開されるようになりました。
多数の組織や標準化団体 (SDOs) とのリエゾンと連携関係 は W3C にとって重要で: